Event Informationイベント インフォメーション

2023.09.04Talk Show

【イベントレポート】竹下景子トークショー&「夫の宿題」上映会

生誕100年を目前にトークショー開催

3月25日(土)、長崎ブリックホール国際会議場にて遠藤周作生誕100年記念「竹下景子トークショー&『夫の宿題』上映会」が開催されました。1999年に全国ネット放送されたスペシャルドラマ『夫の宿題』は、遠藤周作を支えた妻・順子夫人が描いた同名著書をドラマ化した作品。大スクリーンでの作品上映後、劇中で順子夫人役を演じた竹下景子さんが登場し、トークショーへと続きました。また、遠藤先生の貴重な音声公開や、サプライズで披露された竹下景子さんによる『沈黙』の朗読など、終始会場は遠藤先生を慕う皆さんの温かな空気に包まれました。

 

妻が描いた『夫の宿題』リバイバル上映

故・遠藤周作が臨終の際に、妻・順子夫人へと強く伝えたキリスト教最大のテーマ「復活」と、生前の末期医療について改善し「心あたたかな医療を」と訴えたメッセージ。順子夫人は、自身と同じように愛する人の死を悲しむ人々の心を癒すために筆を執り、作家・夫である遠藤先生からの“宿題”と称してその物語を著しました。作品では遠藤先生の作家としての姿はもちろん、家族の前で見せる素顔やユーモアたっぷりな人柄までも描かれており、彼の人物像を見事に再現。鑑賞中も度々笑い声が起こり、竹中直人さん演じる遠藤先生と、竹下景子さん演じる順子夫人との仲睦まじいやり取りを、ファンの皆さんは微笑ましく見守っていました。

 

遠藤先生の「生の言葉」に耳を傾ける

NBC開局25周年記念講演会の際に、ゲストとして招かれた遠藤周作。今回特別に、当時の貴重な音声資料を公開しました。会場に流れてくるのは、落ち着いた雰囲気で長崎の人々に語りかける遠藤先生の肉声。またとない機会に皆さんは静かに耳を傾けるも、遠藤先生は「私は長崎にはいつでも来たいと思っているのに、なかなか呼んでくれない」「こんなことなら、長崎で嫁さんをもらえばよかった」などのジョークを飛ばし、当時の音声からも会場からも笑い声が響きます。時を経て、遠藤先生の生前の時代と現在が繋がったかのような体験ができました。

 

竹下景子さんの語りと朗読で、会場が一つに

遠藤先生の音声が終了するや否や、今回のメインゲストである竹下景子さんが順子夫人の声で「もう、先生ったら!」と嗜めながら登場。トークショーでは、遠藤先生にはまり役だった竹中直人さんの演技力の素晴らしさや、「母のように優しく見守ってくれた」という順子夫人ご本人との思い出などを語りました。また、会の前日には外海の地、そして遠藤周作文学館を訪れた竹下さん。ドラマのエンドロールで流れていた外海の幻想的な風景を前にして、深い感動を露わにしました。

トークショーの終盤では、名作『沈黙』のクライマックスである一節を竹下さんがその場で朗読するサプライズが。竹下さんの熱のこもった朗読に、物語の世界観が頭の中で蘇ります。息を飲むような迫真の演技に、会場内には涙する人も。

 

遠藤周作生誕100年の節目へ

最後に、武田敏明副市長から竹下さんへのお礼の言葉と、生誕100年記念グッズの贈呈が行われました。「私にとっては、あっという間の2時間。こうして皆さんと温かい機会を持てたことで、特別な日になりました。生誕100年を迎えられる周作先生の誕生日、私も東京で先生に想いを馳せたいと思います」と、会場の皆さんと心を通わせ合う竹下さん。そんな素敵な時間を提供してくれた竹下さんには、感動に満ちた拍手喝采が送られました。