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2023.11.22お知らせ
生誕100年記念 遠藤周作読書感想文コンクール 入賞者
生誕100年記念 遠藤周作読書感想文コンクールの入賞者を決定しましたのでお知らせします。中学生・高校生あわせて70名のかたにご応募いただきました。
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中学生部門
<最優秀賞>
読んだ作品 『沈黙』
<優秀賞>
読んだ作品 『海と毒薬』
<佳作>
読んだ作品 『生き上手 死に上手』
読んだ作品 「夫婦の一日」
読んだ作品 『海と毒薬』
【中学生部門講評】 遠藤周作読書感想文コンクール 最終審査委員 加藤宗哉委員
予想をはるかに上まわる水準だったといえる。なかでも選考委員の票を集めたのが、最優秀作、優秀作の二篇である。文章、感性、ともに質の高さが目立った。特に「『沈黙』遠藤周作を読んで」は、自身の体験を小説世界に重ね、じっと海を見つめるラストが素晴らしい。やはり自らの人生へも向けられる“眼”が、読書感想文にも必要なのだろう。 ただ全体として、取りあげられた作品が重いテーマや老境を扱ったものばかり、という感じがした。『海と毒薬』『夫婦の一日』『生き上手死に上手』などが中学生に相応しくないとは言わないが、たとえば信仰と神、罪の意識、愛と死といったテーマなら、遠藤周作の中間小説や狐狸庵エッセイにも見られるだけに、これらの作品が取りあげられないのが不思議であり、少し残念でもあった。しかし今は、良いものを読ませてもらったと、役得をした気分になっている。
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高校生部門
<最優秀賞>
読んだ作品 『沈黙』
<優秀賞>
読んだ作品 『沈黙』
読んだ作品 『海と毒薬』
<佳作>
読んだ作品 『沈黙』
読んだ作品 『沈黙』
【高校生部門講評】 遠藤周作読書感想文コンクール 最終審査委員 青来有一委員
遠藤周作を「令和」の時代の高校生がどう読むのか、興味深いコンクールだった。 狐狸庵先生のユーモアに向き合うか、日本人にとっての神を求めた信仰者の遠藤周作に向き合うか、本の選び方で感想文も異なってくる。審査委員のひとりが述べられた「比べるものが違いすぎて迷う」というのは全員の思いだった。 その結果、『沈黙』と『海と毒薬』を取り上げた感想文が入選作となった。渾身の力で遠藤が挑んだ重いテーマの小説に、高校生が真摯に向き合った感想文は読みごたえがあり、入選作にふさわしい力作ばかりだ。 審査員は、感想文の作者名も学校も知らされないで選んだが、入賞作の四編が同じ学校だったことには驚いた。学校の紹介もあったのだろう、おかげでコンクールも盛況となった。 大人の世代の協力で優れた小説は読み継がれていく。今回のコンクールが世代を越えて遠藤周作を語り合うきっかけになることを期待したい。
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