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2023.04.24special exhibition

【イベントレポート】遠藤周作生誕 100 年記念式典を開催

外海で記念する遠藤周作生誕100年

2023年3月27日(月)、遠藤周作文学館にて遠藤周作生誕100年記念式典を行いました。式典には、遠藤周作のご子息・遠藤龍之介さんをはじめとするご遺族の方々、並びに長崎市長や来賓・関係者の皆様をお招きし、生誕100年をお祝いするとともに、改めて遠藤周作へ想いを馳せる時間を過ごしました。

式典では、同日スタートの特別企画展「100歳の遠藤周作に出会う」のテープカットも。特別企画展の盛大なオープニングセレモニーとなりました。

 

縁ある方々の声が文学館に響き渡る

司会者より開式の言葉を以て式典が始まり、長崎市長・田上富久による主催者挨拶、ご遺族代表挨拶、特別企画展監修者挨拶が行われました。また、音浴博物館の協力の元、遠藤先生のお母様歌唱による「アヴェ・マリア」のレコード鑑賞の時間も。最後に、生誕100年特別企画展のテープカットが行われ、午後の企画展へとスタートを切りました。

 

そばにいた者が語る言葉

ご遺族代表として、遠藤周作のご子息、遠藤龍之介さんが登壇。父である遠藤周作と子どもの頃に『沈黙』の取材で外海を訪れた思い出や関係者の方々への感謝の言葉を述べられました。

「小学校低学年の頃に、『沈黙』の取材で連れて来てもらったことを昨日のように思い出します。外海の風景を見て、子どもながら『美しい景色だな』と感じました。それから約50年が経って再び訪れ、まさにこの風景が父の作品に出てくるあのシーンなのだろうなと。なによりこの地にご縁をいただき、言い尽くせないほどたくさんの方々のご協力があって今日という日を迎えられたことに、改めて御礼を申し上げます。ありがとうございます」

 

式典の後半では、特別企画展の監修を務めた、遠藤周作文学館・東京委員会の加藤宗哉さんによるコメントも。長年、弟子として寄り添ってきた作家ならではの視点で語られました。

「最近考えていることがあります。それは、『遠藤周作という作家は、登場するのが早すぎた』のではないかということ。遠藤先生の没後、時代を経て『沈黙』が映画化され、書店に行けば遠藤周作の本がたくさん並んでいます。昨日聞いたのですが、『沈黙』が先週3万部の増刷がかかったとのことです。こんな作家が他にいるでしょうか。現代になって、時代が遠藤先生に追いついてきたのでは、と感じています」

 

新たに遠藤文学の扉を開ける人へ

遠藤先生が「神様がぼくのためにとっておいてくれた場所だ」という言葉を残した外海の風景。その幻想的な情景を前にして、生誕100年を記念する特別企画展が開催されることを誰よりも喜んでいるのは遠藤先生かもしれません。そんな喜びを共にするファンは全国に多数いる一方で、今回の生誕100年を機に初めて出会う人もいるはず。田上市長はこう語ります。

「今回の企画展は、時間をかけていろんな工夫を施しながらつくってきました。コンセプトは、『100歳の遠藤周作に出会う』。遠藤先生の人生を辿りながら、遠藤文学について知っていただきたい。そしてぜひ、若い人にも遠藤文学に触れる入り口に立っていただきたいです。」

文化振興課職員・松藤さんも「若い世代や、新しく遠藤周作を知った人にも来てほしい」と企画展に込めた想いを語ります。純文学だけでなく、「狐狸庵先生の部屋」に設けられた遠藤先生のパーソナルな側面や心に響く言葉を紹介するコーナーも充実。たくさんの人が“100歳の遠藤周作”に出会える企画展となっています。