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2023.04.24special exhibition

【イベントレポート】生誕100年特別企画展「100歳の遠藤周作に出会う」スタート!

遠藤周作の歩んだ100年を追体験

遠藤周作文学館では2023年3月27日(月)より、生誕100年特別企画展「100歳の遠藤周作に出会う」を開催しています。企画展を通して体感できるのは、遠藤周作の生涯と文学の世界観、そして遠藤周作が多くの人々から慕われていた証。生誕から没後の広がりまでを含めた、遠藤周作の深い人生を追体験できる展示が静かな文学館の中で広がっています。かねてより遠藤文学を愛する人も、新しくその世界の入り口に立った人も、幅広い世代が“遠藤周作の歩んだ100年”と出会えるはずです。

 

遠藤周作の深い生涯にふれる

遠藤周作が一生のうちに生み出した作品の数は、なんと全216作品。最晩年の『深い河』に至るまでに、遠藤周作がいかにして小説家になったのか、どんな喜びや苦しみを乗り越えてきたのかを辿ります。また遠藤周作の亡き現在も、その影響力の波は止まりません。順子夫人をはじめとする多くの人々の厚意によって、彼の没後にこの文学館が建てられたように、所縁のある人々が紡いだ物語にも心を打たれます。

 

遠藤周作の広い作品たちにふれる

2016年にマーティン・スコセッシ監督によって映画化され再び脚光を浴びた『沈黙』を筆頭に、遠藤周作は数多くの純文学や歴史小説などを執筆しました。そのほか、もう一つの顔であるユーモラスな遠藤周作が描いた痛快なエッセイなど、数々の名タイトルを深く紹介。『海と毒薬』の取材メモや原稿用紙といった初公開の資料なども展示されており、遠藤文学のファン歴が長い人でも新しい発見があるはずです。

 

孤狸庵先生の部屋へようこそ

遠藤周作が多くのファンを魅了するのは、文学作品はもちろん、彼の親しみやすいチャーミングな人柄や、多趣味で活動的な側面でしょう。企画展では、自らを「孤狸庵先生」と称した遠藤先生の趣味と遊びの世界、社会活動の様子や、数々の名言を表現した部屋を用意。素人劇団の「劇団樹座」や、音痴の父親だけを集めたコーラスサークル「コール・パパス」を立ち上げるなど、その幅の広さは執筆活動の傍らでこなす“趣味”の範疇を超えています。遠藤先生の世界に初めてふれる人は、新鮮な印象を抱くかもしれません。何よりも目を引くのは、遠藤先生が生み出した数々の名言を展示する大型アクリルスタンド。無数の言葉の中から、自分の心に響く金言が視界に飛び込んでくるはずです。

 

遠藤周作を慕う約70人のメッセージ

遠藤周作は、俳優から作家、映画監督まで、幾人もの著名人の心を動かしました。人々の心をいつまでも温かく照らし続けるのは、遠藤周作の生前の姿だったり、没後にも長く息づく彼の思想だったり。世界中から寄せられた言葉たちは、遠藤周作という人物像の輪郭を際立たせ、彼に向けられている眼差しが映し出されているようです。企画展の開催中、全3回に分けて一部、または全文が展示される約70人からのメッセージをぜひご覧ください。

 

記念グッズや来館者マッププロジェクトも

特別企画展の開始同日より、遠藤周作生誕100周年グッズも発売スタート。トートバッグや、31の格言を載せたカレンダー、付箋、オリジナルフレーム切手、ガイドブックなど、さまざまなアイテムで楽しむことができます。また、全国にいる遠藤文学ファンの皆さんが、すべての都道府県から文学館へお越しいただくことを目指して、来館者がお住まいの地域をマップ上で染めていくプロジェクトも始動。各都道府県で一番初めに申し出ていただいた来館者には、認定証と記念品をプレゼントしています。

来館者マッププロジェクトについてくわしくはこちら

 

夕焼けを眺めながら、遠藤周作に心を通わせる

一つひとつの展示と深く向き合っていれば、簡単に時間が過ぎ去ってしまいます。それだけの想いが特別企画展に込められており、それだけ深く厚みのある人生を遠藤周作が歩んできたということ。文学館を出たら、一冊の本を読み終えたあとのような感覚が心を満たしていました。そして、遠藤周作が愛した長崎のこと、外海のこと、描きたかった世界をさらに探訪したくなる。手が届かない場所にいるような、すぐ側にいるような遠藤周作を想いながら、彼も見惚れていたであろう外海の夕日を胸に焼き付けましょう。